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2017.11.22

瑕疵担保以外にもメリットがたくさん!瑕疵保険のお得な税制度まとめ

 

活用しない手はない「既存住宅売買瑕疵保険」

中古住宅の売買時に発生する情報の不足や見えない欠陥に対する不安を低減し、市場の健全な流通を活性化させることを目的として導入された「既存住宅売買瑕疵保険」の制度は、売主にも買主にもさまざまなメリットをもたらすものです。

仕組みの主要ポイントは、住宅を引き渡した後、住み始めてから発見された構造耐力上の問題や雨漏り、白蟻被害といった住機能として深刻な問題となる瑕疵があった場合、それを補修するために負うこととなる買主の損害を保険でカバーする点で、加入にあたって実施する住宅の所定検査とあわせて提供されることから、素人では分かりにくい中古住宅の品質に安心・安全と保証の付加価値をつけられるというところにあります。

しかし、制度を活用するメリットはこの“安心と保証”だけにとどまりません。実は、多くの税制上のメリットを得ることができるのです。今回は、この加入によって受けられる税優遇措置について詳しくみていきましょう。

安心に加えてこんなにお得!

既存住宅売買瑕疵保険の利用で得られる税制上のメリットは、大きく5つ、登録免許税の軽減、不動産取得税の軽減、住宅ローン減税、贈与税の非課税化、給付金・補助金などです。ひとつずつ内容をみていきます。

まず、住宅用家屋の所有権の移転登記などにかかる登録免許税で軽減措置が受けられ、登記費用が安くなる可能性があります。登録免許税は、固定資産税の評価額に所定の税率を乗じて算出されますが、この税率が住宅用家屋の場合、一般に2.0%ですが、瑕疵保険が付与されていると、0.3%にまで低減されます。なお、借入に伴う抵当権設定登記でも軽減措置があり、通常債権額の0.4%となるところが、0.1%になるとされています。

この優遇を受けるには、該当する中古住宅が、自らの居住用で、床面積の90%以上を居住部分が占めること、登記簿上の床面積が50平方メートル以上であること、取得後1年以内に登記されること、既存住宅売買瑕疵保険に加入後2年以内であることを満たしている必要があります。

2つ目に不動産取得税の軽減措置があります。都道府県単位で課される不動産取得税は、土地や家屋の売買・贈与で発生し、取得後半年程度で納税が求められます。この家屋にかかる不動産取得税で、固定資産税評価額から、中古住宅の建築時期に応じた控除額を差し引いてもらえ、それに3%をかけた額で納めるかたちになります。50万円から最大1,200万円の控除がある可能性がありますから、まとまったメリットになるでしょう。

自らが居住する住宅であること、床面積が50~240平方メートルであること、既存住宅売買瑕疵保険に加入後2年以内であることといった点が適用の条件になります。

3つ目の住宅ローン減税ですが、この保険制度における「保険付保証明書」が、耐震基準を満たす中古住宅としての証明書類として利用可能になり、所得税額の特別控除が認められるようになります。条件に合致すれば、返済期間10年以上、借入限度額2,000万円(個人が売主の場合)で1%、最大200万円の控除が適用されます。

合計所得金額が3,000万円以下であること、親族などからの贈与による取得でないこと、自らの居住用住宅で床面積50%以上が居住部分であること、床面積が50平方メートル以上であること、取得後6カ月以内に居住し、控除を受ける年の年末まで継続して居住していることなどが条件となっています。

4つ目の贈与税についてですが、こちらも「保険付保証明書」が耐震基準を満たす中古住宅の取得を証明する書類となり、直系尊属から住宅取得のための資金として贈与を受けた場合の、非課税措置対象に認められます。非課税となる限度額は、住宅の取得などにかかる契約締結日がいつであるかや、消費税などの税率がいくらかによって異なり、国税庁のページなどで調べることができます。

適用させるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに取得して自ら居住すること、床面積が50~240平方メートルであること、既存住宅売買瑕疵保険加入後2年以内であることといった条件を満たしていればOKです。

なお、マイホームの買い換えで利用する場合には、やはり「保険付保証明書」で耐震基準を満たす中古住宅の取得を証明することにより、長期譲渡所得の所得税で特例扱いを受けることが可能で、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができるものともなっています。非課税にはなりませんが、優遇措置のひとつとして知っておくとよいでしょう。

5つ目の給付金・補助金の例では、2019年6月までに取得した場合「すまい給付金」を受け取ることができます。この制度は消費税の引き上げにより、住宅取得にかかる負担が増大することを鑑みて設けられたもので、一定の条件を満たすと最大30万円の給付が受けられます。

既存住宅売買瑕疵保険に加入する場合、第三者機関の検査を受けた住宅を取得することとなりますが、この検査済み証明をもって「すまい給付金」で求められる基本条件が満たせますから、ぜひ活用したいですね。収入制限などの条件もあるものの、消費税率10%時には、さらに最大50万円へと引き上げられますので、該当する場合はチェックしておきましょう。

ほかにも、自治体によって補助金が設定されていたり、融資や利子補給を受けたりすることができるなどのメリットがあります。金融機関で融資条件が有利になる優遇措置を設けているケースもあり、いずれも既存住宅売買瑕疵保険に加入していることで得られる経済的メリットといえるでしょう。

いかがでしたか。少し複雑に思われる部分もあるかもしれませんが、既存住宅売買瑕疵保険の制度が、節税効果や給付金・補助金交付面で、大いにメリットとなる可能性をもったものであることは理解いただけたのではないでしょうか。ぜひ仕組みを知り、賢く活用してみてください。

(画像は写真素材 足成より)