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2017.11.16

中古不動産を買うなら絶対知っておきたい!「重要事項説明書」

不動産売買の基本!「重要事項説明」を知ろう

不動産売買の契約を行う際には、必ず「重要事項説明」という購入予定の物件や売買取引条件について細かく伝え、確認するステップが踏まれます。宅地建物取引士は、この口頭説明とその内容を記した書面への記名押印・交付を行う義務があるとされているのです。

物件購入者は、最終判断としてその内容をきちんと理解し、納得して同意することが大切です。しかし、あらかじめ予備知識をもっていないと理解も難しいかもしれません。購入後のトラブルを防ぐためにも、ここで基礎知識を身につけておきましょう。

重要事項説明は、売買契約にいたるまでの交渉段階で必ず行われるものです。渡される書面の「重要事項説明書」は、その名称が示す通り、非常に重要なものですが、不動産や法律の専門用語も多く用いられるため、一度で全体を理解することは難しい可能性があります。契約前にはコピーをとるなどして、じっくり読み込みましょう。不明点については遠慮することなく質問し、納得して検討・判断、契約と進むことが重要です。

不動産売買でトラブルとなったケースでは、この重要事項説明を受けた記憶がないとするのに、重要事項説明書には説明を受けた旨を示すサインが残されていることが非常に多いといわれます。

大きな買い物を前に極度に緊張したり、舞い上がったりして、すっかり説明があったことやその内容を忘れてしまっていることや、検討者の気が変わらないうちに契約をとりたい業者が急いで手続きを進めたことなどが背景にあると考えられ、いずれにしろ事前に知識をもって説明が受けられていれば、トラブルは避けられた可能性が高いでしょう。こうした点からも、重要事項説明についての基礎知識が必要と分かりますね。では「重要事項説明書」には、具体的にどのようなことがどう書かれているのでしょうか。

読み方・チェックポイントを知る!

「重要事項説明書」には、取引の対象となる宅地や建物に直接関係する情報事項と取引条件に関する事項、その他の大きく分けて3種類が記載されています。

まず物件に関する事項では、物件の所在地や面積、登記簿記載項目など基本情報が明記されていますので、間違いがないか確認します。売主の情報も開示されますが、売主と所有者は異なる場合があります。その場合、売主のもつ権原を確認し、証明する書類とともにみる必要があるでしょう。

都市計画法や建築基準法などに基づく制限の概要や私道に関する負担などについても書かれています。予定している建物は建てられるか、建替えや増改築時に困らないか、敷地と道路の関係や私道について、発生しうる費用負担などを確認しましょう。

水道・電気・ガスといった生活インフラ整備の状況も書かれています。未整備の場合、誰がいつ整備するのか、費用負担はあるか注意してチェックします。中古物件の場合、建物の構造や仕様などについても書かれ「物件状況確認書」などとともに確認するようになっています。この「物件状況確認書」は、後述でもう少し説明します。

このほか物件については、造成宅地防災区域内か否か、土砂災害警戒区域内か否か、アスベスト調査、耐震診断の内容なども記載されています。安心・安全に関わる部分ですから、こちらもよく確認しましょう。

取引条件に関する事項では、契約金額や解除に関する事項、手付金について保全措置の有無やその方法についてがまず書かれています。基本事項として確認し、契約違反やローン特約解除などが発生した場合どうなるのか、いざというときに備えて不利にならないようチェックしましょう。

金銭貸借の斡旋や重大な欠陥が発見された場合の瑕疵担保責任についてなども記載され、説明されます。希望する資金計画にそうものか、納得して購入できる環境が整っているか、丁寧な確認が必要です。

その他の事項では、業者が営業保証金を供託した供託所などについて示されるほか、購入者に伝えるべき特記点などが書かれています。あらかじめ決められた項目以外ということで備考となりますが、個々の物件については、購入判断に大きな影響を与えるもっとも重要な内容が含まれていることが少なくありません。物件や環境における問題点など、納得できていない点がないか、細かく確認してください。

さて、先にあった「物件調査書」ですが、こちらは「重要事項説明書」だけでは分からない物件の詳細情報を補完し、開示するための資料で、現地で確認した物件の状況や法令などでの制限条件、周辺環境、過去の事件・事故・災害についてや、リフォーム実施といったメンテナンス面などが書かれたものになります。

内容として重複する部分もありますが、購入を検討するにあたり気になる事実を含むケースもありますから、重要事項説明書とあわせてよく確認しましょう。

重要事項説明書と物件調査書は、いずれも契約に際して関係者が理解しておくべき重要な内容をまとめたものです。購入を検討する場合は、極力早めに説明を受け、書面を入手して熟読、じっくりと検討してください。

(画像は写真素材 足成より)