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2018.2.15

まずはこれだけ!不動産投資の正しくお得な確定申告

初めてでも大丈夫!必読の確定申告基礎知識

毎年1度、必ず行わなくてはならない確定申告、言葉としては耳にしたことがあっても、給与所得のみのサラリーマンの方の場合、個々人が行うことは控除証明書などを提出するだけで、年末に会社がまとめて手続きを行い、天引きした分の納税とあわせて処理しますから、手続きや仕組みについてよく分からない、知らないという方も多いかと思われます。

しかし不動産投資を始めると、給与所得とは別に副収入が生じるなど、お金の出入りが変わりますから、全体の収支を報告し、税額を決定する確定申告を自分で行うことが必要になります。難しそうに思われるかもしれませんが、ひとつずつステップを踏んでいけば無理なく完了できますし、賢く行うことで投資利益を確保する節税にもなりますから、ぜひこの機会に基本的な知識を身につけましょう。

確定申告は、1月1日~12月31日の1年間における収支をまとめ、所得税額を計算、税務署に申告・納税を行い、必要に応じて税金の還付を受け、過不足を清算する手続きです。提出期間は対象年の翌年2月上旬から3月中旬となり、納付期限までに税金を納めないと、延滞税が課せられますから、早めにスケジュールをチェックし、余裕をもって作業を進めてください。

先ほど、不動産投資をすれば確定申告が必要としましたが、厳密に言えば、給与以外の所得として生じた収入額が20万円を超えない場合、申告を行う必要はありません。また専業で不動産投資、家賃収入を得られている方ならば、所得が38万円以下で不要となります。しかし、経営面の信頼性や後に解説する損益通算が可能な点など、少額でも確定申告を行っておくメリットはありますから、原則行う方向で捉えておくことをおすすめします。

青色申告と白色申告って?

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。それぞれ特徴をご紹介しましょう。白色申告は、全員が対象となる一般的なもので、基本的には小規模をカバーするものです。それに対し青色申告は一定の条件を満たした事業的規模の申告で用いるもので、白色申告から区別して青色申告と呼んでいます。

では青色申告は白色申告と具体的に何が違い、どのような条件で用いるものとなっているのでしょうか。青色申告では、白色申告より日々の取引状況などを細かく記録し、作成した記帳に基づいて正確かつ詳細な申告を行う必要があります。その代わり、白色申告よりも大きな税務上のメリットを得られ、高い節税効果を発揮させられます。

青色申告を利用できる条件は、不動産所得や事業所得、山林所得のいずれかがあり、決められた期日までに青色申告を行うための事前申告である「青色申告申請書」を納税地を所管する税務署長に提出していることです。

不動産投資の場合、目安として10部屋程度の賃貸(一戸建ては2部屋、駐車所なら5区画程度を1部屋と換算)運営とされますが、あくまでも目安であり、不動産所得があるならば、ルールに従った帳簿づけと申請・申告の手続きを行うことで青色申告を活用することが可能です。

青色申告を行うと、まず65万円を経費として計上し、所得から控除することができます。白色申告の場合は10万円の控除ですから、55万円の差がありますね。ただし控除額を65万円とするには、複式簿記で帳簿をつけることが必要です。

また青色申告の場合、赤字の際にそれを3年間繰り越すことができます。黒字の場合、給与所得と不動産所得を合算して納税額が決まります。一方、赤字ならば給与所得から不動産所得の赤字を引いた額、全体の収支における収益で納税額が決まるのです。

仮に、1年目は不動産所得が大幅赤字となり、2年目にはまとまった利益が出たとしましょう。この時繰越が行えなければ、1年目は納税義務がなくなるといったことが起きますが、2年目には多額の納税が必要になります。しかし、繰越可能で損益通算が行えれば、1年目に発生した赤字の超過分を翌年以降の所得から控除することができるのです。これにより黒字は圧縮され、2年目の納税額が下がります。このマイナスを持ち越して効果的に分けるという制度は、青色申告でなければ適用できません。

このように青色申告で得られるメリットは非常に大きいと考えられますから、可能であれば青色申告に挑戦してみましょう。

確定申告をスタート!

ここからはいよいよ確定申告書の作成方法をご紹介します。まず必要書類として、以下のものを集めましょう。

・確定申告用書類
・源泉徴収票
・不動産売買契約書
・固定資産税通知書
・借入金の返済予定表
・各種保険証券
・賃貸借契約書
・管理会社からの賃料入金明細書(家賃の入金と管理費・修繕積立金額が分かる書類)
・修繕費・内装工事費などの見積書・請求書・領収書
・その他収入や経費、税金負担が分かる書類・領収書

必要書類を揃えたら、1年間の不動産収支を計算していきます。まず収入を算定しましょう。不動産投資での主な収入は家賃収入、礼金収入、空室時の保証家賃などです。注意点として、入居時の敷金は収入に含めません。預かり金の扱いとなり、退去時に返還しない金額が確定した場合に、その時点で収入に計上するものとなります。

また、滞納費や入居者負担の修繕費用が発生して相殺された場合は、相殺される前の金額で経理処理を行わなくてはなりません。入居者が修繕費などを負担しているのに、修繕費があらためて計上されてしまい、ミスとして追徴課税の対象になる可能性があるからです。

この点にも注意しながら、経費を算定していきます。管理費や修繕積立金、賃貸管理の手数料、各種保険料、減価償却費、修繕費、各種税金(ただし所得税と住民税は計上不可)、ローン利息分、その他交通費など諸経費が対象です。

この中の減価償却費は、減価償却明細に状況を詳しく記載していきます。減価償却とは、不動産のように高額で長期にわたって使用するものを購入した場合に、その費用をまとめて計上するのではなく、数年から数十年にわたって毎年一定額ずつ経費としてあげていく仕組みのことを言います。

建物の場合、その法定耐用年数に従って毎年の経費に分散して計上していくこととなり、住宅用ならば、鉄筋コンクリート造で47年、重量鉄骨造で38年、鉄骨造は30年、軽量鉄骨造22年、木造20年などとなっています。実際の金銭支出なく、費用計上できる部分ですから、節税効果を発揮するポイントになるでしょう。

なお、ローンについてですが、計上できるのは利息相当部分のみで、元本の返済金は対象になりません。また不動産収入額から費用を差し引いた不動産所得がマイナスになる場合、利息全額を計上することはできず、土地に対する部分が対象外とされますので注意してください。

このように収支を計算し、書類の該当箇所にひとつずつ記入を進めていきます。すべて記入が終わったら、作成した確定申告書類と源泉徴収票の原本を管轄の税務署へと提出します。提出したら、計算された税額を金融機関から納付し、確定申告手続きが完了です。

書類が期限内に提出されていても、税金が納税されていないと、延滞になってしまいますので、提出と納付はまとめて忘れずに行いましょう。確定申告の結果、税金の還付がある場合には、指定した口座に1~3カ月後、振り込まれることになります。

いかがでしたか。やや面倒に感じられるかもしれませんが、非常に重要な手続きであり、慣れればスムーズにこなせるようになります。必要に応じ、専用のソフトなどを活用してみるのも良いですね。分からない点があれば、税務署や専門家に相談し、間違いがなく、賢い節税も叶えた確定申告を行いましょう。

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