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2018.2.7

不動産投資、成功のために目指すべきポイントはどこ?

投資するなら成功したいは当たり前、でも具体的な目標は?

預金金利がきわめて低い水準にとどまる中、子どもの教育資金や老後の資金確保など、大切な資産を育てていくために効果的な運用を考える方が増えています。国内景気は回復基調にありますが、劇的な経済成長が望める段階にはすでになく、ただ貯蓄していれば良い時代から、賢く運用を考えていくべき時代に入っているといえるでしょう。

資産運用の方法にはさまざまなアプローチがありますが、不動産投資もその安定的な資産性から人気があり、再び注目を集めています。投資を始めるなら誰しも良好な結果を残したい、資産を増やしたいと思うのは当然ですが、達成したい具体的な目標を描けている方は意外に少ないものです。

しかしこうした目標設定なくして、安定的な成功はあり得ません。ただ何となく緩慢と始めて、仮に偶然うまくいったとしても、それは一時的な成功にすぎず、最終的にはマイナスに終わっていたということが少なくないでしょう。そこで今回は投資の成功に欠かせない目標設定について、利回りをキーワードに考えていきます。

安定的に成功を重ねていく投資家は、必ず具体的な目標をもち、それを反映させた計画的な運用が行えています。不動産投資を始めるにあたっても、投入できる金額と達成したい大まかな資産目標・目的、それにかける期間、具体的な運用の目標を定めることが重要です。どのような投資を行うにしても、計画性のない投資はギャンブルと変わらないものであり、失敗の悪循環をたどるリスクの高いものとなってしまいます。目標の立て方を知り、賢い運用を始めましょう。

利回りとは何か?

現在の資産と運用の目的、運用期間と達成したい資産額の目安を整理したら、いよいよ日々の運用に直結する具体的な目標を立てる段階となります。投資において、ここでよく耳にするのが「利回り」という言葉でしょう。不動産投資ならば利回りは、物件価格に対してどれほどの利益が得られるか、該当する物件の収益性を測る指標のことを指すものになります。

こう聞くと、利回りは高ければ高いほど良いように思われるかもしれません。しかし必ずしもそうではないのです。それは不動産投資も例外でなく、どんな投資もハイリスクハイリターンが基本であり、利回りの高さだけで飛びつくと、思わぬ高リスクを背負ってしまいがちだからです。利回りをどう見て、どの程度を目標とすれば適切なのか、見極めていかねばなりません。

不動産投資においては、大きく3つの利回り指標があります。表面利回り(グロス利回り)、想定利回り、実質利回りの3種です。ひとつずつ詳しくみていきましょう。

表面利回りとは、年間に得られる家賃収入の合計額を物件価格で単純に割って算出するもので、販売図面など不動産会社が広告を出す際に示す、最も一般的な収益指標です。2,000万円で取得した物件を10万円で貸し出した場合、10×12カ月/2,000で0.06、6%が表面利回りです。

次に想定利回りですが、現状の空き家を賃貸に出した時、想定される収入から計算するもので、仮に満室になったとして算出します。こちらも不動産の物件情報などで販売会社が示していることが多い指標ですが、見込める最高額での計算となっているケースもしばしばで、実際の利回りはこれより低くなると考えておくべきでしょう。

最後に実質利回りですが、これは年間に得られる家賃収入合計額から、毎年必要になる税金や維持管理費、火災保険料など諸経費を差し引いた額を物件取得時に発生した費用で割って算出するもので、より正確な収益性を知ることができる指標になります。

表面利回りの例で、管理費を1万円、固定資産税など税金で5万円、年間の管理料に6万円、火災保険料に1.2万円がかかったとして、さらに購入時の諸費用を100万円とすれば、(120-1-5-6-1.2)/(2,000+100)で約0.0509、5.09%が実質利回りになります。

さらにローンを用いて購入する場合には、金利による利回りのマイナス分を考えておく必要がありますから、物件価格に対する借入割合を金利に乗じてマイナス利回りを算出、実質利回りからこれを引いた値が、ローン期間中の実質利回りになります。最も現実的に手元へと残る収益を反映していますから、この実質利回りこそ、不動産投資で重要視すべき指標といえます。

利回りの目標はどれくらい?

では次に、目標とすべき利回りはどれくらいか考えましょう。築年数が10年以上経過しているような古い物件の場合、価格が低下し表面利回りで8%以上の物件が多くみられます。しかし、築年数が経過すればランニングコストが上昇しますから、実質利回りにするとそれより3ポイント程度低く見積もる必要があります。

これに対し、10年未満の比較的新しい物件の場合、売買価格がまだ高い状態にあるため表面利回りでは6~7%程度が多くを占めてきます。ですがこちらは修繕費用など維持管理コストが古い物件より抑制できるため、実質利回りでは1~2ポイント下、4~5%とみることができるでしょう。

物件の所在地でも平均的な利回りは大きく異なります。東京・大阪・名古屋など都市部の物件ならば10%を超えることはめったになく、7%程度、新しい物件ならばさらに低い利回りになります。一方、地方では10%を超える利回りも頻繁にみられ、全体を平均すれば12%程度になるでしょう。古い物件や北海道の一部などでは20%を超えるものもみられます。

しかし需給で考えれば、都市部で空室リスクが低くなり、地方では概して空室リスクが高めになりますから、満室状態で利回りを計算することが難しくなり、実質利回りが低下してきます。北海道などでは地域特有のコストも生じることがありますから、個々の条件をよく確認しなければなりません。

不動産投資では、10%以上の利回りを目標にされる方が多いといわれますが、実質利回りでこの値を目指すのは、かなり難しく、ハイリスクの投資になるでしょう。初心者であれば、一般的投資でも目安となる5%前後、3~6%を目標とすることがおすすめです。

利回りを高めたい場合、割安で優良な物件を探すこと、ローンを利用するなら、購入価額に対する借入割合を下げる、借入金利が低い金融機関を利用することがポイントとなります。表面利回りや想定利回りの高さに惑わされず、個々の物件特性を踏まえた実質利回りからより良い条件の物件を探し出し、計画性をもった運用で資産の構築を図りましょう。

(画像は写真素材 足成より)