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2018.1.31

ノンリコースローンとは?その実態に迫る!

より良い条件でローンを活用!ノンリコースローン基礎知識

近年、不動産投資を行う個人投資家が増加し、資金調達の方法としてさまざまなローンに対する関心も高まりつつあります。ローンを利用するなら、できるだけ良い条件で組みたいのは当然のことですね。賢く比較検討するには、それだけの知識が必要です。ぜひこの機会に基礎を身につけましょう。

不動産関連のローンについて調べている人なら、「ノンリコースローン」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。一般的なローンとは仕組みを異にするこのローン、多種多様なローンの中でも注目度上昇中のローンともなっていますから、今回はこちらを取り上げ、解説していきます。

通常、単に“ローン”といってイメージされるものは、返済ができなくなった場合、債務者が差し入れられた担保を売却しますが、その担保価値が目減りしていてなお債務が残る場合には、他の担保の追加を求めたり、個人保証などに遡及していったりと支払い義務が広がっていく「遡及型ローン」と呼ばれるものです。

これに対し、ノンリコースローン(Non-recourse debt)は、その名の通り「non(非)recourse((返済の)頼みとするもの、遡り)」で“償還請求を行わないローン”を意味し、「非遡及型ローン」と呼ばれるものになります。融資資金の回収は、最悪の場合でも差し入れた担保までしか及ばないので、これを売却すれば返済義務が残ることはないのです。

仮に売却された担保の価値がその時点で目減りしていて、融資金額に満たない額しか回収できなくなっても、その残額における返済は免除されることとなります。不動産を担保として用いるノンリコースローンならば、借主側のリスクはその担保不動産物件のみに限定されるため、万が一返済不能に陥ってもその他の資産に影響を及ぼす心配がなく、リスクを最小限に抑えた高額融資を実行しやすくなると考えられます。

融資条件をしっかりチェック!

日本ではまだあまり一般に広がっていないノンリコースローンですが、米国などでは非常に一般的にみられるローン形態で、住宅ローンとしても、このノンリコースローンによる融資が多くなされています。

リスクが担保資産に限定され、それ以上の返済義務を負うことがなくなるノンリコースローンは、借主側には大きなメリットであり、売却後には、再び資金計画と投資方針を変更して実行したり、事業の立て直しを図ったりすることも可能で、いずれも通常のローン処理として取り扱われますから、ブラックリストに載るといった心配もありません。

逆に融資する金融機関側は、返済が滞った場合に、担保資産以外の回収手段を失うこととなるため、遡及型ローンよりも大きなリスクを負うことになります。簡単にいえば、担保の将来価値に投資するような感覚での融資判断となるでしょう。よって、できるだけ担保割れを起こさないよう、より厳密にその資産価値を評価し、精度の高い審査を行うことになります。

またリスク分として、通常よりも高めの金利を設定したり、返済期間を短くしたりする傾向があります。借主として利用する側も、こうした特性を理解し、融資条件をよく確認して契約する必要があるでしょう。

ノンリコースローンの場合、具体的な金利や審査内容は、提供する金融機関が個別に設定するものとなり、基準などもありません。借主側の要望や計画、担保資産が不動産であれば、その立地条件や建物スペック、市場価値、権利関係など詳細を加味し、融資判断を行っているとみられています。

なお現時点で国内のノンリコースローンの利用は、一棟マンションや収益ビル、商業施設など大型の不動産購入資金における融資がほとんどで、一般個人は少なく、主に不動産業者やその他法人、不動産ファンド、賃貸オーナー向きとなっています。

とはいえ、個人が不動産運用・投資などで用いるケースももちろんあります。高い評価が見込まれる収益物件を選んで担保とすることや、十分な運用計画・事業計画が求められるなど、ハードルは高いと予測されますが、金融機関と相談していく価値はあります。

また、続くマイナス金利の影響などでローン金利が全体に低下してきているほか、既存住宅の評価改善・市場活性化を図る動きも進んでいるため、今後は日本国内でも、ノンリコースローンがより身近になっていくとも考えられるでしょう。そうした日を見据え、知識を蓄えておくこともおすすめです。

(画像は写真素材 足成より)