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2018.1.25

老後の不安解消に!リバースモーゲージとは

分かりにくい?リバースモーゲージの基礎を徹底解説

近年、シニア層を中心に関心が高まっている融資制度として「リバースモーゲージ」があります。しかし、CMやパンフレットなどで目にしたことはあるものの、いまいち内容がつかめなかったという方も多いのではないでしょうか。

人生100年時代も見据えられる今、老後の生活資金や医療費、介護費、アクティブなシニアライフを支える趣味の費用まで、さまざまな用途に使うことができ、経済面の不安を解消できる手段のひとつとして注目されているリバースモーゲージについて、今回は詳しく解説します。

リバースモーゲージ(Reverse mortgage)とは、現在居住している自宅を担保に、金融機関から資金融資を受けられる制度で、年金を除き給与所得などの現金収入がなくなってしまった高齢者が、必要な資金を手に入れやすい仕組みとして提供されているものです。担保とする自宅には、これまで通り住み続けることができ、死後に売却して一括返済を行います。

“reverse”とは「逆」を意味し、“mortgage”は「担保」、“mortgage loan”で「住宅ローン」のことを指しますから「逆住宅ローン」という意味ですね。住宅ローンは住まいの購入資金を先に借り入れ、それを毎月返済していくものであり、対するリバースモーゲージは、所有している住宅をもとに毎月資金を借り受け、最後にまとめて返済するものですから、確かに“逆”といえるかもしれません。

シニア向けの融資制度としているため、大多数の金融機関では55~60歳以上の年齢制限を採用しており、貸付限度額は発生する利息の累積額と将来の不動産担保価値下落可能性を見越した上で、担保となる自宅の現在における不動産評価額の半分~80%程度に設定しています。

契約期間は、老後の20年間といった期間を設定するか、契約者の死亡までといった設定が多くなっています。契約者夫婦2人の死亡後とすることもあり、この契約設定ならば遺された配偶者が住む場所に困るということがありません。

資金は数十万円ずつ年金のように受け取るスタイルが基本ですが、近年は多様な資金ニーズに応えるものへと進化し、金融機関によっては、限度額まで自由にいつでも任意の金額を借りることができる“枠内自由引き出し型”や、最初に資金をまとめて得る“一括借入型”なども選択できるようになっています。

契約期間が終了すると、貸し付けていた金融機関は、担保としていた契約者の自宅を売却して現金化し、それによって融資の回収を行います。利子や貸付金を回収してなお残余金がある場合には、相続人などにその分が返還されることとなります。

利用メリットは?

リバースモーゲージ最大のメリットは、やはり自宅を売却することなく、高齢者でも無理のない融資が受けられる点です。住み慣れた環境で生活を続けながら、必要な資金を現金で得られる利点は大きいでしょう。年金型の受け取りならば、特別な条件設定がない限り、生涯融資を受けられる安心感が得られます。

まとまったお金が必要となった時、収入が年金に限られる高齢者の場合、借入が難しく調達が困難という事態に直面しがちです。年金担保貸付もありますが、返済分が年金から差し引かれてしまうため、その後の生活に支障をきたす恐れが大きくなります。

しかしリバースモーゲージを利用すれば、年齢の上限制限などもなく、借入で現金を得ることができます。契約期間を切らない限り、生きている間に毎月の返済を迫られることもありませんから、のちの生活費を圧迫する心配もなく、融資を受けられるのです。

返済は、基本的に借主の死後、担保とした自宅を売却する方法で行われるので、遺族に借金が残る心配がないのもメリットでしょう。資産価値が大幅に下落したことで担保割れを生じるリスクもありますが、金融機関側は、基本的にそうした事態が発生しないよう余裕のある融資限度額設定を行っていますし、万が一の担保割れ発生時でも相続人に残債負担を課さない仕組みとしているものもあります。

こんなシーンでおすすめ

居住する自宅を所有している以外にはまとまった資産がなく、年金収入に頼っており、相続する子どもなどもいないという場合、リバースモーゲージは手持ちの資産を最大限有効活用できる方法となり得ます。生活資金や医療費・介護費などに充てる融資が継続的に得られ、不安が大幅に軽減されるでしょう。

高齢者施設やサービス付き高齢者向け住宅のマンションなどへ、住み替え入居を検討されていて、自宅は資産として手放したくないけれど、手元の貯蓄のみでは資金が不足する、将来的にみて不安があるといったケースも、この融資が向いています。

がん治療などの高額な医療費負担や、自宅介護に伴う改修などでまとまった現金をすぐに確保したい場合も、リバースモーゲージで対応できます。この場合、一括借入型や枠内自由引き出し型の利用ができるものに限られますが、所有する自宅を活かすことで、新たな経済的負担を負うことなく資金が調達でき、安心の生活を続けられやすくなります。

退職や再雇用による給与減となる段階で、住宅ローンの返済が残っているケースに利用するのも効果的です。このリバースモーゲージで得た資金から住宅ローンを完済してしまえば、それ以降の返済がなくなり、老後の家計に余裕が生まれます。

いかがでしたか。利用条件などを注意深く確認する必要はありますが、うまく活用すれば、独立した子どもらに負担をかける心配もなく、長期的に安定した老後の生活を支えるもととすることができるでしょう。

あこがれた夢の実現や旅行、趣味など、アクティブなシニアライフを充実させ、暮らしをより豊かにするために用いることも可能です。リバースモーゲージの仕組みを知り、賢い活用を検討してみてください。

(画像は写真素材 足成より)