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2017.12.12

グッドデザイン賞受賞で普及にも弾み!住宅ファイル制度

新しい理想的な住宅取引の仕組みとして高評価

近畿圏の宅地建物取引業協会や不動産鑑定士協会、金融機関、防蟻・瑕疵保険などの専門家、住宅情報ネットワークなど、関連する団体が参加する近畿不動産活性化協議会によって提唱され、普及に向けての取り組みが進む「住宅ファイル制度」が、2017年度のグッドデザイン賞を獲得し、注目を集めるものとなっています。

「グッドデザイン賞」は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催するもので、日本国内では唯一の総合的なデザイン評価・推奨を行う権威ある賞として認知されています。社会全体の発展につながる提案活動として、新しさや高度さ、新たな価値観の創造など意義のある社会貢献を果たすものとなっていることが評価のポイントになっており、物体のある工業製品プロダクトから、活動モデルなど概念的な仕組み、イベントなどまで幅広い領域を対象として、毎年選考がなされています。

受賞すると、きっと誰もが一度は目にしたことがあるであろう、おなじみの「Gマーク」を表示することができるなどのメリットもあり、認知の向上や信頼性向上、社会的な価値があるものとして広く国民に認められ活用されやすくなる効果があります。

住宅ファイル制度は今回、このグッドデザイン賞の候補作として応募したところ、理想的な住宅取引の仕組みとして、良質な既存住宅の適正な評価と、売主・買主双方の安心な取引を促進するものになることが評価され、晴れて同賞を受賞するにいたりました。

情報の見える化推進、一般消費者にとっての利便性の高さがポイントに

住宅ファイル制度は、2015年11月に取り組みと提供が開始されたもので、不動産の各領域におけるプロフェッショナルが、第三者的立場から、中古住宅の建物診断や白蟻検査を現地調査として実施、その結果を住宅の品質・現在の維持管理状態としてまとめ、さらに不動産鑑定士が住宅の経済的な残存耐用年数をはじき出して、適正価格を算定する仕組みです。

バラバラであったフォームを統一し、住宅ファイル価格報告書、物件明細書、建物診断報告書、白蟻検査報告書を「住宅ファイル報告書」としてひとつにとりまとめ、それを基に透明性ある情報開示環境のもと、売主と買主の住宅売買取引を安全・安心に、一般個人でも分かりやすく納得できるかたちで、スムーズに進めやすくするというモデルを構築しました。

不動産取引は専門性の高い分野であり、一般の人々にとっては頻繁に体験することではないため、手続きなども初めてのことばかりで、しなければならないことが多岐にわたるにもかかわらず、全体像をみながら進めることが困難となりがちです。

購入を検討する際も、1つとして同じものがないため、単純な比較が行えない点も難しいポイントでしょう。高額な買い物である上に、住まう人の命にも直結する生活の基礎基盤となるものですから、高い水準の安心・安全と理想を求めるのも当然です。

また売却する売主にとっては、大切にメンテナンスを行ってきた住宅資産として、こだわりや強い思い入れもあるでしょう。それらが無視された、築年数などのみでの価値評価では納得のいく取引にはなり得ません。

こうした人々の想いをつなぎ、中古住宅の市場活性化につながる理想的な新しい取引方法を生み出そうと、ジャンルを超えて不動産関連の専門家らがタッグを組み、知恵とノウハウを出し合って生まれたのが住宅ファイル制度なのです。

瑕疵保険を付けたり、住宅ローンの担保評価に用いたりと、より安心して中古住宅を購入するために活用することもでき、取引における品質不安や価格不安はもちろん、これまで中古住宅の検討でネックとなってきた問題に幅広く対応する一気通貫の仕組みともなっています。

グッドデザイン賞の選考においても、これまでの不動産業界にはなかった客観的な仕様書の作成・評価伝達手段を中古住宅に取り入れ、情報の見える化を進めたこと、多分野にわたる専門技術を用いたデータの収集分析をワンストップで実行し、統一的なフォームでの表現を可能にして一般利用者の利便性を高めたことなどが高く評価されました。

人々の人生設計やライフスタイルの変革にも影響をもたらす取り組みともされ、国全体で推進されている中古住宅流通市場の拡大、既存の住宅資産における適正な評価実施、空き家抑止につながると期待される意義の大きなものと考えられています。

受賞をきっかけに認知が広がることで、住宅ファイル制度の活用が進み、期待される効果が、実際に社会へと広がっていくとよいですね。

(画像はグッドデザイン賞公式ページより)