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2017.10.30

疑問解決!中古不動産売買で宅建業者を利用すると何が違う?

宅建業者は中古住宅の売買で何をする?

一般商品に比べ、大きな買い物となることはもちろん、さまざまな法規制や制度の仕組みを知り、手続きを踏まなければならないことから、個人の一般消費者にとって、不動産取引は複雑な印象や敷居の高いイメージがあるでしょう。中古住宅の売買を行う場合も、きちんと契約を交わせば個人間取引が可能ですが、やはりプロの仲介を頼みたいと考える方も多いと思います。

その一方で、仲介役を果たす宅地建物取引業者(宅建業者)がどこまで取引・契約に関わってくれ、責任をもって安心・安全を確保してくれるのか、何が頼めて何が頼めないのか、漠然としていていまいちイメージをつかめていないという方も少なくないでしょう。

あまりにその責任範囲を広く捉えて過信していたために、自分でチェックすべきポイントを逃し、後悔したといったことがないよう、利用者としてある程度の理解をもっておくことは大切なことです。また介在させるメリットを理解できなければ、取引手数料などにも納得がいきませんね。そこで今回は、宅建業者が取引とどのように関わるのか、疑問を徹底解説します。

宅建業者の中古物件取引における活動は、大きく3つに分けられます。1つは売主からの相談を受け、買主を探し始めるまでの、該当する中古住宅を商品として取り扱えるものへと体裁を整えていく準備活動、2つ目は買主を探す販売活動、そして3つ目が売主と買主の間に立ち、売買契約を取り結んで決済と引き渡しをサポートする活動です。

それぞれのプロセスで、取引当事者の不安解消や発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐよう努め、明確化された売買契約内容をスムーズに、適正に履行できるよう、不動産取引に精通したプロフェッショナルとしてフォローを行っていくのが宅建業者なのです。

個人間では取引を行う相手を見つけるのが難しいといった問題を解決できるほか、宅建業者は取引対象となる不動産物件での私法上・公法上の権利関係や関連する規制、周辺との関係、取引条件などについて、十分な調査能力と知識をもって明確化するため、当事者らにとって、望まない契約の成立など、思わぬ損害が生じるリスクを低減することが可能になります。

仲介する業者としての責任

宅建業者には不動産売買を仲介するにあたり、本人確認や建物、土地に関する基礎的な調査を行い、業者として知ったことを「重要事項説明」として漏らさず説明する義務があります。契約成立までの間に、必ず行うべきとされており、宅地建物取引士の有資格者が、内容を記載した書面に記名・押印し、書面として出すことも必要とされています。

「重要事項説明」には、物件の基本的な情報から権利関係、法令に基づく制限、私道について、電気・ガス・水道といったインフラの整備状況などが記されるほか、取引で生じる代金、契約解除に関すること、損害賠償や違約金について、手付金保全措置や利用ローンの内容などが明記されます。誰にどのような責任がどこまであるのか、当事者はこの説明でよく確認することが重要です。

宅建業者が調査しても確認できないことを、売主が隠していたためにトラブルや損害が発生した場合は例外となりますが、調査不足や説明における不備が原因で発生した損害は、仲介業者の責任になります。

所有者や売主にしか分からない住宅の過去や見えない欠陥については、宅建業者がすべてを把握することも困難となりがちですので、多くの場合「告知書(付帯設備及び物件状況確認書)」を売主の協力を得て作成し、説明に反映させるといったことを行うようにしています。買主は物件を直接自分の目でチェックするとともに、この「告知書」で現況を確認、事後のトラブルを防ぐようにします。

また契約が成立し、物件が引き渡された後についても、個人間取引とは異なる点があります。それは「瑕疵担保責任」というもので、住まいの重大な欠陥といえる構造上主要な部位の腐蝕や雨漏りの発生、給排水設備の深刻な故障が購入後に明らかとなった場合、一定期間その責任をとって補償するものです。

個人間の場合、売主の瑕疵担保責任をなしとすることも有効ですが、宅建業者が引き渡す場合には、これを無とすることはできず、宅建業法にある「引き渡しから2年」という特則に基づき、その旨を契約書に記載して2年間責任を負うことが一般的となっています。なお、この瑕疵担保責任期間を2年以上とする場合を除いて、宅建業者が買主に不利な特約をつけることは認められず、たとえ明記されていても無効になるという決まりもあります。

このように、宅建業者は、売主にとっても買主にとっても、納得のいく安全・安心な取引が可能になりやすい環境を整える役割と責任を果たしています。その意義を知り、うまく活用しましょう。

(画像は写真素材 足成より)