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2017.12.11

不動産担保評価とは?その仕組みと活かし方を徹底解説!

知っておきたいお金の基礎知識・不動産担保評価

不動産担保評価という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。不動産の取得や投資に関心のある方、また金融機関からの融資を希望している方ならば、知識としてご存じでしょう。しかし、その評価の仕組みなどについては、分かりにくい点も多いもの。そこで今回は、不動産とお金に関する基礎知識として、不動産担保評価を取り上げます。

不動産担保評価とは、金融機関が融資を行う際に、不動産を担保として行うとして、該当する不動産の価値を評価し、それをもとに融資可能額を算出していく流れのことをいいます。

融資やローンにおいて、借り手の返済が滞ってしまった場合に備え、貸し手である金融機関は担保をとりますが、その担保に土地や建物といった不動産を適用するのが不動産担保であり、いざというときには、これを売却して融資した資金の回収を図ることを見据えていますから、それを前提とする不動産担保評価は、端的にいって、金融機関側がいくらで売れるとみるか、その価値判断プロセスとなります。

不動産は個別性が高く、その特性やニーズで、売りやすさを示す流動性や売却価値がかなり異なりますから、金融機関側も個々にさまざまな項目による調査と評価、評価替えを行っていますが、業務が複雑化する中、客観性とリスク管理の観点から、現在はほとんどのケースでプロセス全体がシステム化されています。

多様なデータを取り込んだ独自の評価管理システムや、シミュレーションシステムに、該当する不動産のデータをかけて、算出された結果を評価とするのです。

不動産担保の場合、有価証券や売掛債権といったその他の担保に比べると、どうしても売却に手間と時間がかかってしまいやすく、競売や任意売却での処理にコストを要することもあるため、市場価格との比較で考えると、ある程度シビアな評価結果となる可能性が高くなっています。

土地を中心に公的な評価から概算

とはいえ、不動産は資産として大きなものであることに違いはなく、一定以上の高い効力をもった担保であることは確かです。すぐに高く売れる不動産ならば担保評価も高くなりますし、無担保ローンなどに比べれば、当然より大きな額の融資を受けることが可能になります。

受けた融資についても、一般に低金利で長めの返済期間と設定することができ、資金使途も原則自由とされているので、それぞれ事情に合った活用が可能でしょう。こうした点は大きなメリットであり、可能な範囲で、対象となる不動産の担保評価目安をもっていれば、それを交渉参考材料としたり、資金計画に反映させたりと、よりうまく金融機関とつき合っていくことができるようになります。

では不動産担保評価は、どのようになされていると考えればよいのでしょうか。いざというときの売却が前提とされていますから、まずは該当する不動産の時価がポイントになります。

融資を依頼する時点での、同程度の地域、同程度の物件における売買実勢価格が分かればそれを参考にできますが、先にも述べたように不動産売買は個別性が高く、一見似た条件でも、売り手が現金化を急いでいるなど特殊な事情で、価格が動いているケースもあり、なかなか単純には参考材料として採用できません。

そこで仮に今、売却するとして、該当不動産の時価を考えるわけですが、まず土地についてみてみましょう。土地の場合、公的な評価である公示地価や基準地価格、路線価などがあります。この中で基準して近いのは、国土交通省によって毎年公表されている公示地価です。これは土地売買の基準となるように設定された価額で、相場をつかむのに参考となります。

またより詳細な地域について、都道府県が公表している基準地価格も参考になります。対象となる不動産の近隣評価地点がいくらとされているか、公示地価を補完するデータとしてチェックするとよいですね。

路線価は、国税庁により相続税や贈与税などの課税基準として毎年発表されているもので、市街地の道路に面する土地1平米あたりの評価額が示されています。こちらは都市部の公道に面した土地が網羅されているため、より近隣のデータとして利用しやすいケースも多いと考えられますが、売買基準ではなく課税基準であることから、公示価格の8割程度になっている点を留意しておきましょう。

また実際の評価では、これらの参考値について、土地の形状や周囲の環境、取引ニーズなど複数の要素で修正がなされるため、あくまでも目安であることを忘れないようにしてください。

次に建物ですが、こちらの評価は1平米あたりの建築単価で、今同じ建物を建てた場合の価格を算出でき、これに、1から築年数を引いたものを減価償却耐用年数で割った値を乗じることで、およその評価額を出すことができます。

しかし、建物は経年劣化が避けられないものであることから、担保価値としては低いと判断され、中古住宅ではほとんど加味されないケースも多くなっています。建物構造なども参考とされるため、例外的に高く評価される場合もありますが、基本的には土地が主体になると考えておくとよいでしょう。

金融機関では、こうして算出された時価に、それぞれ設定している担保掛目をかけて評価額とします。この担保掛目は、売却できなかったり、経年劣化や社会情勢変化による価値減少が発生したりといった想定されるリスクをカバーするためにあるもので、ローンの種類や保障機関の有無などでも異なりますが、70%程度に定めているところがほとんどです。

時価に担保掛目をかけて出た額を担保評価額の参考とし、複数の金融機関の比較検討を行っていけば、より良い融資が利用できるでしょう。もちろん不動産を担保とした場合、返済ができなくなればその不動産を失ってしまいますから、事前に余裕をもった返済計画を立て、検討するようにしてください。賢く不動産を活かし、資産運用などに取り組みましょう。

(画像は写真素材 足成より)